おおきかった。

とてもおおきかった。

10日前は

はとが二羽とまっていた。

5日前は

冷たいゆきにも耐えていた。

一昨日は

冷たいかぜを防いでくれた。



もういない。



今日あなたは

無残なすがただった。

からだがバラバラに切り刻まれ

立っている太いあしには

むしがいっぱい寄ってきていた。

うでの根元にはまだ

いっぱいいっぱいマツボックリがついていた。



学校の隅にある図書室の裏。

大きな松が立っていた。

昼に必ず会いにいっていた。

となりの銀杏と大きさを競っているようだった。

今日の昼、図書室の裏は明るかった。

見るも無残に切り刻まれた残骸が

ところせましと転がされていた。

誰も知らなかった。

何で切られたのか。

誰も来ないようなところで

ひっそりと立っていただけなのに。



あんなに簡単に殺されてしまうんだ。

何年も何年もかかってここまできたのに

一瞬で殺されてしまう。

『植物を大切に』

『命を大切に』

『時間をかけたことは無駄にはならない』

今までの僕たちの時間は?

学校に来てたのは?

なんなんだろう。

わからなくなった。



松の木は

まだ生きていた。

からだじゅうから

いっぱいいっぱい透明な血をながしていた。

この血がかれたとき

あなたは死んでしまうのだろうか。

誰にも知られずに

ひっそりと死んでいくのだろうか。



僕だけは

見てるから。

君の最期を

見てるから。

それだけは忘れないで。

誰かがあなたを見てることを

ぜったいに忘れないで。