クローバー



登場人物

風見 理恵(かざみ りえ)

日野 叶  (ひの かなえ)

流   美鈴(ながれ みすず)

※流の台詞前の「・・・」は僕のイメージなので無視していただいて構いません

草下 敬介(くさか けいすけ)

※基本的にうるさく叫んでます

























音楽

登校の時間

一人どこかを見つめる風見。そこに日野が駆け込んでくる。日野はそのまま勢いよく風見の脇を通り過ぎていき、去る。風見はフト上げた顔をまた落とす

そこに日野が戻ってくる

音楽 消



日野  「あんた、どうしたの」



自分が話しかけられているとは思っていないのか風見はどこかを見たままだ



日野  「あんたよあんた」



ゆっくりと顔を上げる



風見  「私、ですか・・・」

日野  「そうあんた。あんた伊吹高校の生徒でしょ」

風見  「はい」

日野  「だったら何ボーっと立ってるの。もうすぐチャイム鳴っちゃうよ」

風見  「はい」

不動

日野  「あ〜ほら」

風見の手を取る

日野  「行くよ」

風見  「え?」

日野  「学校。ほら」

手を引かれる。

風見  「え、あの」

日野  「何。早くしてよ、遅刻しちゃう」

風見  「なんで手を引っ張られてるんでしょうか」

日野  「あんたがボーっと突っ立ったまま動かないからでしょ」

風見  「そんなことないですよ」

日野  「いいから早く」

風見  「あせらなくてもまだ間に合いますよ」

日野  「間に合わない」

風見  「間に合いますよ」

日野  「間に合わない」

風見  「間に合いますよ」

日野  「間に合わない」

風見  「間に合・・・」

日野  「ああ!だからこんなことしてる場合じゃないんだって」

風見  「だったら先に行ってください。私は歩いていきますから」

日野  「そんなことできないよ」

風見  「なんでですか」

日野  「これであんたが遅れたらあたしなんか見捨てたみたいで嫌じゃん」

風見  「私、気にしませんから」

日野  「だからあたしが気にするの」

風見  「気にしないでください」

日野  「気にする」

風見  「気にしないでください」

日野  「気にする」

風見  「気にしないで・・・」

日野  「ああ!だから遅れるって」

風見  「遅れな・・・」


日野  「もういい。とにかく遅刻なんかされたらあたしの気がすまないの。だから早く行こう」

風見  「そんなもんなんですか」

日野  「そんなもん」

風見  「おせっかいですね」

日野  「おせっかいだよ」

風見遠くを見る

風見  「・・・わかりました」

日野  「わかってくれたか」

風見  「話してたせいでいつのまにかもうほんとに走らなくては間に合わない時間です」

日野  「・・・・・・」

風見  「ダッシュです」

風見、去る

遠くでチャイムが鳴る音

日野  「そりゃないだろ。・・・ダッシュ!」

日野、去る



音楽  戻ってくる

暗転





幕開け

昼休み

ベンチに風見が座っている

転寝(うたたね)

そこに日野が流と登場

日野  「あれ?」

流   「どうしたの」

日野  「あの子」

日野が風見に近付く

日野  「あ!やっぱりこの子朝の」

風見  「・・・(コックリコックリ)」

流   「・・・どなた」

日野  「さあ」

流   「・・・知り合い?」

日野  「知り合いって程でもないけど」

流   「・・・ふうん。こんにちは、さあさん」

日野  「すごい強引なボケだよ、それ。しかもこの子寝てるし」


流   「・・・さあ君?」


日野  「おかしいのそこか!?」


流   「・・・美鈴のちゃめっ気だから気にしないで」


風見が目を覚ます


日野  「あっ、起きた」


風見少しボー


流   「・・・こんにちは、さあさん」


風見  「ああ、はい。こんにちは」


日野  「ええ!?」


風見  「あれ?朝の人ですか」


日野  「あ、そう。こんにちは」


風見  「こんにちは」


日野  「あんたこんなところで何やってるの」


流   「・・・光合成?」


風見  「惜しいです。私の身体が緑色だったらきっとそうなんですけど」


日野  「でもなんでせっかくの昼休みに中庭なんかで日向ぼっこなんてしてんの」


風見  「中庭を馬鹿にしてはいけませんよ。風が吹いたらなかなか気持ちがいいんです」


日野  「そう」


風見  「ところでこちらの方はどなたですか」


日野  「っていうかあたしあんたの名前も知らないんだけど」


風見  「そうですね。私もあなたの名前知りません」


流   「・・・美鈴はあなたの名前を知っているわ」


風見  「ええ!?私そんなに有名人なんですか」


流   「・・・ふっふっふ。あなたの名前は『さあ』さん」


風見  「はい?」


日野  「美鈴、しつこい」


風見  「私は、あなたのお名前を知ってますよ」


流   「・・・え?」


風見  「美鈴さん」


流   「・・・エスパー?」


日野  「いやいや」


流   「・・・美鈴有名人」


日野  「さっきから自分で美鈴って言ってるでしょ」


流   「・・・ああ」


風見  「ばれてしまいました」



日野  「はあ。まあいいや。私は日野叶。2年2組。んでもってこっちが流。流美鈴。同じ2年生で4組」


流   「・・・偽名だけど」


風見  「ええ!?」


流   「・・・嘘ピョン」


日野  「いちいちつっこみいれてたら身がもたないよ」


風見  「騙されてしまうところでした」


日野  「それで?あなたのお名前は?」


風見  「ああはい。私は風見理恵。1年1組です」


日野  「じゃあ後輩なんだ」


風見  「そうみたいですね、先輩」


流   「・・・いじめがいがあるわ」


風見  「ええ!?」


日野  「だから・・・。美鈴もからかったりしないの」


流   「・・・美鈴、今のはかなり本気」


風見  「!!!???」


流   「・・・なぁんつってな」


日野  「嫌われても知らないぞ」


風見  「いいえ、別にそんなことは」


流   「・・・ほら、大丈夫」


日野  「まあ、いいならいいけど」


風見  「ところで先輩たちはなにをしていたんですか」


日野  「ああ、先輩なんて固っ苦しいのはなしなし。好きに呼んでくれていいよ」


流   「・・・好きにしなっ!」


風見  「はい、じゃあ。叶さんと美鈴さんは何をしてたんですか」


日野  「ただの散歩。まあ食後の腹ごなしね」


風見  「そうなんですか。こんなところで会うなんてすごい偶然ですね」


流   「・・・そういえば理恵チュンとカナカナのご関係は」


日野  「理恵チュンって誰よ」


風見  「私ですか」


流   「・・・嫌?」



風見  「いえ、かまいませんけど、そういう風に呼ばれるのって初めてだからなんか緊張しますね」


日野  「嫌なら嫌って言ったほうがいいよ。先輩とか気にしないでさ」


風見  「いや、ほんとうにいいんですよ」


流   「・・・だってさ。で、どんな知り合い」



日野  「ああ。なんかこの子が登校中にボーっとつっ立ってたからあたしが声をかけたの」



流   「・・・・・・それだけ」



日野  「そう、それだけ」



風見  「別に私ボーっとしてたわけじゃないんですけどね」



流   「・・・なんだ」



日野  「何」



流   「・・・もっと面白いことを期待してたのに」



日野  「何、面白いことって」



流   「・・・実は生き別れの双子の姉妹とか」



日野  「漫画の見すぎ」



風見  「ははは。本当にそうだったら面白いのかもしれませんけど」



流   「・・・まさかそんなこと言っといて最後に『実は』とか」



日野  「ないって」



流   「・・・はぁ、おもしろくない」



日野  「だから何を求めてんの、美鈴は」



流   「・・・楽しいこと」



日野  「美鈴が、ね」



流   「・・・もち」



風見  「毎日楽しくないんですか?」



流   「・・・楽しすぎ」



風見  「それでも楽しいこと、ですか」



流   「・・・そうよ理恵チュン。満足したらそれでおしまいなの。もっともっと楽しいことを見つけていってなんぼの世界よ。お分かり」



風見  「はぁ」



日野  「いいのいいの。美鈴は楽しければ何でもいいんだから」



流   「・・・今そこはかとなく失礼なことを言われた気がするわ」



日野  「気のせい気のせい」



流   「・・・・・・」



風見  「なかなか奥が深いですね」



流   「・・・娯楽追求の日々は大変なのだよ。分かってくれて美鈴はうれしいわ」



風見  「はい。気を抜かないようにします」



流   「・・・よし。じゃあ今日、今から理恵チュンは美鈴の弟子ということで」



風見  「はい、師匠」



流   「・・・お師匠様とおよび」



風見  「お師匠様〜」



日野  「あんたら何してんの」



流   「・・・師弟の誓いの儀」



風見  「はい」



日野  「お願いだから昼休みの学校でやらないで」



流   「何で」



日野  「知り合いだと思われたくない」



流   「・・・カナカナ。もろい友情だったわね」



日野  「え?」



流   「・・・さようなら〜〜〜。いくぞ、弟子よ」



風見  「え?師匠?」



流退場



日野  「・・・・・・」



風見  「・・・・・・」



日野  「美鈴!!!」



日野が駆け出した途端に流入場



流   「・・・なに」



日野  「うわぁ」



風見  「美鈴さん」



流   「・・・だから何」



風見  「え?あの、喧嘩して行っちゃったんじゃ、あれ?」



流   「・・・あの程度で怒ってどうするの〜。冗談さ、フッ」



風見  「は、はあ。そうだったんですか」



流   「・・はっはっは。ああ、面白・・・」



日野  「面白くない!!!」



流   「・・・叶」



日野  「ほんとびっくりしたんだから。怒らせちゃったんじゃないかって」



流   「・・・ごめん」



日野  「あっ、ごめん」



沈黙



日野  「もうこんなことしないで」



流   「・・・わかったわ。約束しましょう」



日野  「うん。ああ、なんかごめんね。雰囲気悪くしちゃって」



風見  「ああ、いえ」



日野  「もう大丈夫だから。ほんと、ごめん。会って早々こんなので」



風見  「いえ。仲がいいんですね」



日野  「え」



風見  「普通あんなに気まずくなったらなかなか仲直りなんてできないでしょう。なのにこんなにすぐ仲直りするなんてすごいです。友情パワーですね」



流   「・・・その通りよ。私とカナカナの友情は永遠なのだ」



日野  「うわっ。美鈴、よくそんな恥ずかしい台詞言えるね」



流   「・・・って昔カナカナが言ってた」



日野  「あたし!?」



流   「・・・そう。私たちが初めて会ったとき。私はあれにやられたわ」



風見  「叶さんってすごいこと言うんですね」



日野  「いやぁ、あれぇ、そんなこと言ったかな」



流   「・・・照れてるわ」



風見  「そりゃあ『友情は永遠』とか言ってたら死ぬほど恥ずかしいですよ」



日野  「ああ、もうこの話は終わり。終了」



流   「ふっふっふ。逃げたな」



日野  「うるさい」



風見  「ところでお二人はいつごろからのお知り合いなんですか」



日野  「ん?ええっとね、小学三年生くらいだったと思うよ」



風見  「へえ、長いですね」



日野  「そういえば理恵ちゃんはそういう子いないの」



風見  「私ですか」



日野  「そう。ずっと仲良しの子っていないの」



風見  「はい、ずっとっていうのはいませんね」



日野  「いないの!?」



風見  「はい。私転勤族なんですよ。だからいつも1年くらいで引っ越しちゃうんです。だから仲良くなったりしてもすぐに別れちゃって。ここにもこの間来たところなんです」



日野  「え、でも手紙とか出したりしない」



風見  「最初はそんな風にしたりもするんですけどね。だんだんやらなくなっちゃうんですよ」



日野  「・・・・・・」



流   「・・・また引っ越すの」



風見  「いえ。ここに家を建てたのでこれからはお父さんだけ単身赴任です」



日野  「でもよかったね。もう引っ越さないならここで一生の友達を作ればいいよ」



流   「・・・よくないわ」



日野  「え、なんで」



流   「・・・かわいそう、理恵チュンパパ」



風見  「あはは。そうですね」



日野  「まあ、そうだけどさ」



流   「・・・がんばれ理恵チュンパパ」



風見  「お父さんに伝えときます」



日野  「とにかく、早く親友を作っちゃおう。そのほうがいい」



風見  「ははは(微笑む)」



流が遠くを見る



流   「・・・あ・・・」


日野  「なに?」


流   「・・・あれ」


日野  「ん?」


草下が慌てまくりで走ってくる。そしてそのまま退場


日野  「・・・何だったの今の」


流   「・・・さあ」


風見  「誰だったんでしょう」


日野  「草下」


風見  「え?」


日野  「草下」


風見  「知り合いなんですか」


日野  「一応」


草下今度はそろそろ、こそこそと入ってくる


日野  「草下、あんた(なにやってんの)・・・」


草下  「うわあ!日野、静かにしろ」


日野  「どしたの」


草下  「追われてるんだ」


日野  「誰に」


草下  「俺の命を狙ってるやつだ」


日野  「あんたなにしたの」


草下  「ちょっと待ってろ」


草下来た方を見に行く


戻ってくる


草下  「ふう。助かった」


日野  「あんたは何なのいったい」


流   「・・・こんにちは、草下君」


草下  「おう、流もいたのか。あれ、この子は?」


日野  「あんたは知らなくていいよ」


草下  「ねえねえお嬢ちゃん、名前は。あと学年。」


風見  「は、はい」


日野  「答えなくていいよ理恵ちゃん」


草下  「なんだよそれ、俺だけ仲間はずれか」


日野  「それよりもあんた逃げなくていいの。命、狙われてるんでしょ」


草下  「ああ、大丈夫大丈夫。もう逃げきれたはずだから」


日野  「んで、何やったの今度は」



草下  「それがさぁ、聞いてくれよ。俺はさ昼飯も食ったことだし新しい出会いを求めて校内を巡ってたんだよ。そしたら何と柱のところに一人の少女が立っているではないか。俺は近づいていって声を掛けた。やあ彼女。一緒にジュースでも飲まない。そしたらさぁ」


草下、溜息



草下  「柱の影に三年の柔道部がいてさ、俺の女になんか用か、って。だから、ああ、ナンパしてたんだって言ったら殴りかかってきやがってさ。なんかそのままなのもしゃくだから一発殴って勘弁してやったんだ。それなのにあいつ、すごい勢いで追いかけてきやがって。」



三人  「・・・・・・」



草下  「あれ。反応なし。なんかないの」



流   「・・・草下君」



草下  「なんだ、流」



流   「・・・柔道部」



草下  「ひぃぃぃぃぃぃ!!!」



流   「・・・冗談だけど」



草下  「まあ、怖くなんてないけどね」



風見  「さっき悲鳴上げてましたよ」



草下  「あ、あれは」



風見  「それに最初はなにかから逃げてらしたようですし」



草下  「え、その」



日野  「あれは癖でしょ、あんたの」



草下  「え」



日野  「柔道部って聞くと反射的に反応するってやつ」



草下  「え、ええと」



風見  「そうなんですか」



草下  「はい、そうです(泣)」



流   「・・・柔道部」



草下  「ひぃぃぃぃぃ!」



流   「・・・柔道部」



草下  「ひぃぃぃ」



流   「・・・中等部」



草下  「ひぃぃ」



流   「・・・中学生が恐いの」



草下  「俺をいじめて楽しいか」



流   「・・・あんまり」



草下  「じゃあするなよ!」



日野  「まあ草下に面白さを求めても無駄だし」



草下  「なんか俺ひどい言われよう」



風見  「・・・・・・」



草下  「なんで理恵ちゃんはそんな哀れみの眼差しを向けるの」



日野  「ちょっと、なに、理恵ちゃんって」



草下  「なにって、理恵ちゃんだろ」



風見  「あ、はい。風見理恵といいます。一年です。よろしくお願いします」



草下  「あ、俺、二年の草下敬介。よろしく」



日野  「そうじゃなくて。なんでそんなに馴れ馴れしいの」



草下  「え?だめ」



風見  「別に・・・」



草下  「だって」



日野  「だめよ理恵ちゃん。こんなんとかかわるとろくなことがないから」



草下  「なんだよ、それ。俺と会ったら最悪みたいじゃないか」



日野  「違うよ」



草下  「なにが」



日野  「人生の終わり」



草下  「・・・」



風見  「ああ、そんなことないですよ」



草下  「理恵ちゃん」



流   「・・・世界の終わり」



草下  「・・・」



流   「・・・それどころかまだゴキブリとひとつ屋根の下で暮らす方がましね。それとか突然雑草になるとか、人体実験に使われるとか」



草下  「・・・」



流   「・・・冗談」



草下  「だよな。まじで泣こうかと思った」



流   「・・・だったらよかったのに」



草下  「まじなのか!!」



日野  「大丈夫、あたしはゴキブリの方がちょっとだけ嫌だから」



風見  「私もです」



草下  「・・・君らってほんとに容赦がないんだね」



風見  「ああ、私は別にそんなふうに思ってませんから」



草下  「ほんとに」



日野  「なんか人間不信に陥ってる人の目してるよ」



草下  「あんたたちのせいだよ!」



流   「・・・柔道部」



草下  「ひぃぃぃぃぃ」



日野  「あんた馬鹿でしょ」



草下  「へん、もういいよ。行こう、理恵ちゃん」



風見  「はい?」



草下  「こんな奴らほっといてさ、どっか行こうよ」



日野  「こんなやつ(怒怒怒)」



草下  「ジュースでも飲もう」



日野  「あたしを無視するなんてあんたいい度胸してるわ(怒)」



草下  「ほらほら、怖い先輩が暴れだす前に」



草下が風見の手を引いていこうとする



風見  「あ、はいでも・・・」



草下  「ん、な(に)?」



チャイムが鳴る



風見  「チャイムです」



草下  「気にしない気にしない」



風見  「でも」



草下  「サボるくらい気にしちゃだめだって」



日野  「あんたはサボれないって分かてて言ってる?」



草下  「なんでサボれないんだよ」



日野  「美鈴」



流が草下の後ろに回りこみ喉元に鉛筆を突きつける



日野  「もしこれ以上暴れるならこのまま柔道部へ一直線だけどどうする」



草下  「わ、わかった。サボったりしません」



日野  「よし。美鈴。行きましょ」



流   「・・・行くわよ」



流、草下退場



風見  「大丈夫なんでしょうか」



日野  「気にしない気にしない」



風見  「はぁ」



日野  「とにかく教室に戻ろう。授業に遅れちゃう」



風見  「はい、そうですね」



日野  「行こう」



風見  「はい」



日野、風見退場。






流が現れる






流   「・・・早送り」






そしてまた退場



チャイムの音



ただしそれは通常の数倍のスピードだ



2回鳴る






流が現れる






流   「・・・ああ、午後の授業は早かった」






流、ベンチに座る。そして折り紙を取り出して折り始める



そこに風見が現れる



風見  「美鈴さん?」



流   「・・・おお、理恵チュン」



風見  「早いですね。私、チャイムが鳴ってから一番に出てきたのに」



流   「・・・まあね」



風見  「お隣いいですか」



流   「・・・ええ、どうぞ」



風見が流の横に座る



風見  「折り紙ですか」



流   「・・・見ての通り。やる?」



風見  「いえ。いいです。何折ってるんですか」



流   「・・・鶴」



風見  「鶴」



流   「・・・人は一生に一度くらいは千羽鶴を折りたくなるのよ」



風見  「ああ、わかります。私もなんか無性に千羽鶴がほしくなったことってあります」



流   「・・・美鈴は五限目の体育の時間に突然悟ったの。鶴を折らなきゃって」



風見  「突然ですね」



流   「・・・だからおもわず折り紙を買ってしまったわ。ただし問題が一つ」



風見  「なんですか」



流   「・・・なんだと思う」



風見  「え〜。う〜ん。時間がないとか」



流   「・・・はずれ」



風見  「じゃあ、鶴が折れないとか」



流   「・・・それなら千羽鶴に挑戦したりしないわ」



風見  「それもそうですね」



流   「・・・正解を教えましょう。これよ」



流は風見に折り紙の袋を見せる



風見  「え???」



流   「・・・よく見なさい」



風見  「えっと。・・・あ」



流   「・・・わかった」



風見  「四〇〇枚入りですね」



流   「・・・三つ買ったら二〇〇枚も無駄になるわ」



風見  「それで何かを折ったらいいんじゃないですか」



流   「・・・自信があるわ。千枚も折ったらしばらくは折り紙が嫌になる」



風見  「それもそうか」



流   「・・・理恵チュンも折る」



風見  「私もですか」



流   「・・・そしたら二人で二〇〇〇枚買えば完璧」



風見  「遠慮しておきます」



流   「・・・残念」



流折り紙を始める



風見はボケー



流   「・・・理恵チュンはここに何しに来たの」



風見  「え、はい、なんですか?」



流   「・・・理恵チュンは中庭が好きなの」



風見  「はい。大好きです」



流   「・・・そう」



風見  「だって、なんかいいですよね。ここはすごく穏やかです。ここの学校で一番好きなところです。皆さんもここに来ればいいんですけどなんか勉強で大変なようです」



流   「・・・進学校だからね。皆がんばってるのよ」



風見  「ほんと、ちょっとよそ見をすれば気づくのにもったいないです」



流   「・・・理恵チュンはなんでこの学校にしたの」



風見  「え?」



流   「・・・なんで」



風見  「そうですね。近かったからです」



流   「・・・そう」



風見  「美鈴さんはどうしてですか」



流   「・・・近かったから」



風見  「おんなじですね」



流   「・・・ここならカナカナも一緒に受けられたし」



風見  「え」



流   「・・・カナカナよりは私のほうが頭はいいわ」



風見  「はぁ、そうなんですか」



流   「・・・信じてない(キラン)」



風見  「いえ」



流   「・・・カナカナと居るのが楽しかったから、私はカナカナと一緒にここを受けたわ。間違ってなかったとも思ってる」



風見  「そうですね。この学校はとてもいいところです」



会話が止まる



流は折り紙。風見はボケー



流   「・・・来る」



風見  「・・・え」



流   「・・・もうそろそろ来るわ」



風見  「誰がです(か)」



日野が現れる



日野  「おお、やっぱ理恵ちゃんだ」



風見  「こんにちは」



日野  「こんなところで何やってるの」



風見  「別に何にもしてませんよ」



日野  「美鈴は・・・ほんとに折り紙やってるし」



流   「・・・だから言ったでしょ。私は千羽鶴を折りたくなったのよ」



日野  「その折り紙って」



流   「・・・もち」



風見  「なんなんですか」



日野  「ホントに買いに行ってたんだ」



流   「・・・四〇〇枚入りよ」



風見  「なんなんですか。教えてくださいよ」



日野  「え?何」



風見  「その折り紙がどうかしたんですか」



日野  「ああ。いや実はね美鈴ったら五限目に突然『千羽鶴』とか言い出してその後『買いに行く』って言って授業終わるのと同時にどっか行っちゃったの。ホントに購買に行ってたとは」



流   「・・・(Vサイン)」



風見  「なんかある意味一途ですね」



流   「・・・思いたったが即吉日よ」



日野  「なんか間違ってるような正しいような」



風見  「五限目が体育だったから早く終わって行きやすかったんですね」



日野  「まあね。ってかそんなに力説しなくてもいいよ」



風見  「ああ、はい。すみません」



日野  「別に謝らなくてもいいけどさ」



草下(声)「その通り!」



草下がやってくる。



風見  「こんにちは」



草下  「理恵ちゃんに謝せるとはどこのどいつだ。そんなやつは俺が叩きのめしてやるぜ」



流   「・・・柔道部の主将よ」



草下  「へ?」



流   「・・・理恵チュンに謝らせようとしてるのはのは柔道部」



草下  「嘘だろ。だって今、日野が謝せ・・・」



流   「・・・あれは練習よ。今から柔道部のところに行くの」



草下  「・・・マジ?」



流   「・・・大マジ」



草下  「なあ嘘だろ」



日野  「ありがとう草下。あんたもたまには役に立つんだねぇ」



草下  「いや、その俺は」



風見が日野につつかれる。



日野を見る風見。日野の満面の笑顔。



風見  「・・・ありがとうございます」



草下  「ホントなのかーーー!」



流   「・・・冗談に決まってるでしょ。馬鹿」



草下  「え?」



日野  「あんた、ホントに馬鹿」



草下  「え?なに?あれ?謝せるのは?あれ?」



風見  「・・・ごめんなさい」



草下  「理恵ちゃん!?」



日野  「ばーか、ばーか」



流   「・・・ばーか、ばーか」



草下  「だから、馬鹿じゃねぇ。馬鹿っていうな」



流   「・・・だってさっきから『謝らせる』を『謝せる』って言ってるし」



草下  「はん、墓穴を掘ったな、流。最近は『ら』抜き言葉って言うのが流行ってるんだよ」



流   「・・・それ流行りじゃない」



草下  「そんな嘘に騙されるかよ。この間テレビでやってたんだからな。最近の若者は『ら』抜き言葉を使うって」



流   「・・・もういいわ」



草下  「へ、ばーかばーか」



風見  「あの・・・」



草下  「ん、なんだい理恵ちゃん」



風見  「『ら』抜き言葉って使わないほうがいいですよ。若者の言葉は流行ってるんじゃなくて乱れてるんです」



草下  「違うって。こっちの方がかっこいいだろ。『謝せる』」



風見  「そもそも『ら』抜き言葉って『食べれる』とか『起きれる』とかって時に使うんです。『謝らせる』は若い人も『謝らせる』って言いますよ」



草下  「またまた、理恵ちゃんまで」



日野  「もう放っとこうよ。草下の馬鹿はもう治らないって」



流   「・・・そうそう。もう放っておいてあげましょう」



草下  「なんだよ、それ。まるで俺が間違ってるみたいじゃないか」



風見  「はい。草下さんのがおかしいです」



日野  「理恵ちゃん。もういいの」



流   「・・・手遅れだわ」



風見  「でも」



日野  「草下敬介はもうこのまま生きていくしかないの」



流   「・・・寂しいわね、あんな人生。私なら・・・」



草下  「・・・なんだよ。なんか言ってくれよ」



流、哀れみの眼差しを草下に向ける。



日野、風見も続く。



草下  「な、なんだよお前ら。ちくしょう〜、俺は間違ってなんかないぞ〜」



草下逃げ出す。



風見  「あ」



日野  「追っちゃだめ。行かせてあげましょう」



流   「・・・最期の言葉が『俺は間違ってなんかないぞ〜』か。すぐ忘れそう」



風見  「いいんでしょうか」



日野  「いいの。あいつはあんなキャラだから」



風見  「キャラですか」



日野  「誰も追いかけてこなかったら寂しくなってまた出てくるって」



風見  「はい」



流   「・・・あわれよのぅ」



日野  「美鈴がある意味とどめさしたよね」



流   「・・・知らないわ」



日野  「まあ、いいけど」



沈黙



ベンチに座ったりしてみる



風見  「静かですね」



日野  「うん。理恵ちゃんはここが好きなの」



風見  「はい、大好きです。叶さんはどうですか」



日野  「あたし?んーっとねぇ、まあ、嫌いじゃないかな。好きとか嫌いとか考えたことないから。美鈴はよくここにいるよね」



流   「・・・私は好きよ、ここ。いろいろと面白いものが見えるから」



日野  「例えば」



流   「・・・部活中走ってて転ぶ姿」



日野  「それは面白いけど、観察してるのってどうだろう」



流   「・・・手をつないで歩くバカップルが喧嘩する瞬間」



風見  「そんなの見えるんですか」



流   「・・・美鈴が軽く足を伸ばしたら女が転んだの。でも男はそれ見て笑って。美鈴はとりあえず避難したわ」



風見  「はぁ」



流   「・・・あと・・・」



日野  「もういい。わかった」



流   「・・・そう」



風見  「ああ!」



日野  「なに」



風見  「私、今日用事があったの忘れてました。すみません。帰ります」



日野  「ああ、うん。気をつけてね」



流   「・・・バイバイ」



風見  「はい、それでは」



風見、帰る。



日野  「なんか慌しかったね」



美鈴  「・・・事件(キラン)」



日野  「違うでしょ」



草下が入ってくる。



草下  「どうして誰も追ってきてくれないんだよ!」



流   「・・・自殺するのかと思って」



草下  「なおさら止めろよ!」



日野  「何言ってんの。心配したんだからね」



草下  「日野・・・」



日野  「場所が学校だったら休みになるかなって」



草下  「俺の心配じゃないのか!」



日野  「なんであんたの心配しなくちゃいけないの」



草下  「君たちには人情ってものが無いのか」



流   「・・・かわいそうに。自分がどんな人間か知らないのね」



草下  「俺って同情される価値も無いのか」



流   「・・・ノーコメント」



草下  「へっ、いいよもう。俺は理恵ちゃんに慰めてもらうんだ。で、理恵ちゃんは?」


日野  「帰った」


草下  「え」


日野  「帰ったって言ったの」


草下  「あの一瞬に?なんで」



流   「・・・『草下君とは二度と関わりたくないわ。だから帰ってくる前に帰ります』って」



草下  「嘘!」



日野  「うそうそ」



流   「・・・あんた人信じすぎ」



草下  「ほんとに俺人間不信になりそうだよ」



流   「・・・なれば」



草下  「お前は俺に何の恨みがあるんだ」



流   「・・・草下君いじめるの楽しいから」



草下  「俺は楽しくないよ!で、ほんとはなんで理恵ちゃん帰っちゃったの」



日野  「なんか用事があるんだって」



草下  「そっか・・・」



日野  「どうしたの」



草下  「いや」



流   「・・・なんか怪しい」



草下  「別にそんなことないよ」



日野  「死にたくなかったら早いとこ白状しなよ」



草下  「なんでそこで『死ぬ』とか物騒な言葉が出て来るんだよ」



日野  「5・・・4・・・3・・・」



草下  「話します(泣)」



流   「・・・弱」



草下  「俺たぶん日野に勝てないもん」



日野  「2・・・1・・・」



草下  「カウント止めろよ」



日野  「じゃあさっさと話しなさい」



草下  「俺が話そうとしたら流がなんか言ってきたから・・・」



日野  「バイバイ」



草下  「はい、今すぐに!」



流   「・・・最弱」



草下  「噂を聞いたんだよ」



日野  「噂?」



草下  「ああ。なんかさ、理恵ちゃんがいじめられてるとかいう」



日野  「いじめ」






音楽



暗転






昼休み



日野がやってくる



日野  「こんにちは」



風見  「ああ、叶さん。こんにちは」



日野  「三日ぶり?」



風見  「そうですね、それくらいです」



日野  「ここにくれば会えるかと思ったらやっぱりいた」



風見  「私に何か用ですか」



日野  「別にそういうわけじゃないよ。なんか顔会わせなかったなって思って」



風見  「美鈴さんとはよく会うんですよ」



日野  「美鈴と?」



風見  「はい、よくここに来てます」



日野  「美鈴好きだからね、ここ。理恵ちゃんも好きなんだよね」



風見  「はい、昼休みはいつもここにいます」



日野  「ほんと好きだね」



風見  「はい」







風見  「叶さん」



日野  「なに」



風見  「ちょっと相談したいことがあるんですが」



日野  「どうしたの、なんかあった」



風見  「実はですね、朝靴箱にこれが入ってたんです」



手紙を出す



日野  「なにこれ」



風見  「手紙です」



日野  「そんなの見たらわかるって」



風見  「とりあえず読んでみたんですが差出人の名前もないのでちょっと怖くて」



日野  「なんて書いてあったの」



風見  「どうぞ」



手紙を読んでみる



日野  「なんでここにいるの」



風見  「書いてましたから」



日野  「危ないってこれ。普通の手紙とかじゃないよ」



風見  「やっぱりそうですよね」



日野  「そうですよね、じゃなくて」



風見  「でも一応来ておいたほうがいいかなって」



日野  「来なくていい来なくていい。何されるかわかんないじゃん」



風見  「そう思って一応武装してきたんですが」



日野  「武装」



風見  「はい、これです」



風見、ベンチの下から細い木を取り出す



日野  「これ・・・?」



風見  「はい。襲われたらこれで反撃しようと」



日野  「・・・」



風見  「あれ、叶さん」



日野  「理恵ちゃん。勇気と無茶は違うんだよ」



風見  「はい?」



日野  「いいからさっさと行こう。少なくともここにはいないほうがいいって」



流が登場



流   「・・・グッドアフタヌーン」



風見  「あ、美鈴さんこんにちは」



日野  「あ、美鈴。ちょうどよかった」



流   「・・・なにが」



日野  「これ読んで」



流に手紙を渡す



流   「・・・風見(さんへ)」



日野  「声に出さなくていいから」



流、読む



日野  「朝理恵ちゃんの靴箱に入ってたんだって」



流   「・・・かなり危ない文章ね」



流、日野に手紙を返す



日野  「でしょう。だからとりあえずここから離れようかなって思うんだけど」



流   「・・・そうね。逃げましょう」



風見  「これどうしましょう」



日野  「置いていこう」



風見  「ちょっともったいないです」



三人袖へ向かう



反対側から草下が登場



草下  「あれ、おーい」



日野  「(ん?)ああ、草下」



草下  「どこ行くんだ三人そろって」



日野  「どうもこうもないの、じゃあ」



草下  「待てよ。なんかあったのか、教えてくれよ」



日野  「面倒くさいから嫌」



草下  「なんだよ。理恵ちゃんも行くの」



風見  「はい。すみません」



草下  「今まで待っててくれたんじゃないの」



風見  「え」



流   「・・・何を」



草下  「俺」



日野  「なんで理恵ちゃんがあんたなんかを待たなくちゃいけないの」



草下  「え、違うの。手紙見てここに来てくれたんじゃないの」



風見  「手紙」



草下  「そう、手紙」



日野  「・・・手紙ってこれ」



草下  「そうそう。ってなんで日野が持ってるんだよ俺が悩みまくって書いた手紙」



日野  「・・・草下君」



草下  「ん?なん(だ)」



日野、草下の首をとる



日野  「いっぺん、地獄を見てきな!」



風見  「わあ!叶さんだめです」



流   「・・・いけ」



日野  「だめ、あたしの気がすまない」



草下  「ギブギブ」



風見が日野を引き離す



流   「・・・ち」



日野  「あんたのせいでこっちがどれだけ慌てたか」



草下  「なんのことだよ。俺が何した」



日野  「この手紙書いたでしょう」



草下  「ラブレター書いてなにがいけないんだよ。ってかお前ら読んだのか」



日野  「これのどこがラブレターだっ」



草下  「全部に決まってるだろ。俺の気持が込められてるじゃないか」



風見  「ごめんなさい。ぜんぜん受け取れませんでした」



草下  「え」



風見  「てっきり危ない手紙かと」



草下  「理恵ちゃ〜ん(泣)」



風見  「ごめんなさい」



日野  「理恵ちゃんが謝る必要なんてミジンコのかけらも無い!悪いのは全部こいつ」



草下  「だから何が悪いんだよ」



日野  「美鈴、朗読」



流   「・・・OK」



手紙を受け取る



流   「・・・風見さんへ。この気持は何だ。心の底から湧き上がってくる」



草下  「熱い思いが伝わるだろ」



日野  「ただの変な人でしょ」



流   「・・・居ても立ってもいられない。ああどうしよう。もう耐えられない。部屋の壁にはこぶしの跡がくっきりと残った。今日の昼休み、中庭で待つ。遅れずに来な。終わり」



草下  「名文だ」



日野  「どこが。これじゃ脅し文句でしょ」



草下  「どこがだよ。俺の気持がこもりまくってるじゃないか」



日野  「じゃあ、こぶしの跡って何」



草下  「それはな。『ああ、この思いを伝えるべきかどうするか。くそぅ』って部屋の壁を叩くだろう。そのことだよ」



日野  「分かるかっ」



流   「・・・殴りたくてしょうがないって感じね」



風見  「はい。てっきりパンチ力を鍛えているのかと」



草下  「なんでわかってくれないんだよ!だから女って言うのは」



流   「・・・何(キラン)」



日野  「やっぱり死ぬ」



草下  「ごめんなさい」



日野  「とにかく最低でも名前くらいは書くでしょ、普通」



草下  「え、書いてなかった?」



風見  「はい、どこにも」



草下  「あれぇ、おかしいな。書いたと思ったんだけど。まあごめん」



日野  「ごめんで済むか」



草下  「じゃあどうしろっていうんだよ」



流   「・・・言っていい」



草下  「いや、やっぱやめてくれ」



流   「・・・残念」



日野  「でもやっぱり私刑ぐらいはしないといけないよね」



草下  「その『し』って『私』って漢字かなぁ(汗)」



日野  「魂もっていかれる『死』の方がいい?」



草下  「どっちも嫌だよ!」



流   「・・・選択肢は三つ。今の二つともう一つあるわ」



草下  「ああ、それ。それにする。」



流   「・・・柔道場の畳に『草下敬介参上』っていう風に隅々までカッターで切込みを入れる」



草下  「な」



風見  「それって柔道部だけじゃなくて体育の先生からも怒られます」



流   「・・・それだけじゃないわ。当然弁償もさせられるし草下君は精神病か調べるために病院にも連れて行かれるわ。さらにうまくいけば警察沙汰になるかも」



草下  「ぜんぜんうまくないだろそれ!」



流   「・・・ほかの二つなら死ぬことになるわ」



草下  「リンチでも死ぬのか、俺」



日野  「美鈴、ナイスアイデア♪」



草下  「音符つけるなよ」



日野  「ナイスアイデア☆」



草下  「星もつけるな!」



日野  「なんで星マークだってわかったの」



流   「・・・草下君。男に二言はないわよね」



草下  「ありまくります」



流   「・・・そんな意気地の無い男が理恵ちゃんに好かれると思って」



草下  「これって意気地ないとかって問題か」



風見  「草下さん。大丈夫です。私ぜんぜん気にしませんから」



草下  「理恵ちゃん」



風見  「どっちにしろ草下さんのこと好きじゃありませんから」



草下  「え・・・」



日野  「あ、ふられた」



流   「・・・理恵チュンナイスタイミング」



風見  「あ、別に草下さんが嫌いというのではなくてですね、男の人として好きじゃないってだけです」



日野  「あ、止め」



流   「・・・理恵チュンワンダホー」



草下  「え、え、え。あ、その、え」



風見  「あの、お友達として」



流   「・・・も嫌いですから」



風見  「そんなこと言っていません」



日野  「おーい、草下」



草下  「・・・・・・・・・」



日野  「だめ、寝てる」



草下  「ショック受けてるんだよ!」



日野  「元気じゃない。大丈夫大丈夫」



風見  「ごめんなさい」



流   「・・・理恵チュンは謝らなくていいさ。私は草下が告白してきたために告白に対して理恵チュンがなんかトラウマを持たないか心配だわ」



草下  「・・・」



流   「・・・草下君」



草下  「なんだよ」



流   「・・・つまんないから力の限りツッコミを入れなさい」



草下  「そんな元気ないよ」



風見  「あの、本当に(ごめんなさい)」



草下  「いや、いいんだ。きっとこうなるって思ってた」



日野  「最初から思ってたんだったらまず無理だわ」



草下  「ちょっと黙ってろよ」



日野  「・・・」



草下  「でもいいんだ。あきらめるよ、俺。これで告白失敗回数93回目だから振られるのももう慣れたさ。じゃあ、これからは友達ということでいいんだよな」 



風見  「はい、ぜひそうしてください」



草下  「うん。じゃあ俺行くわ。またね」



草下、ゆっくりと去っていく



草下、去る



流   「・・・降られた回数多!」



日野  「まさかそんな数になってるなんてさすがに知らなかった」



風見  「悪いことをしたでしょうか」



日野  「いいのいいの。いちいち気にしてたらやってらんないよ。また明日には新しい女の子が好きになったって言ってるって。そういう奴だから、草下は」



流   「・・・なんか女の子を好きでいることが草下君の幸せって感じ」



風見  「そうなんですか」



流   「・・・わかんないけど」



日野  「まあいいってほんとに。とりあえずこんなしんみりするのはなし。もっとさっきみたいに楽しくいこう」



風見  「はい・・・」



流   「・・・もしかして告白されたの初めてだったとか」



風見  「ええ、まあそうですけど」



日野  「うそ。それは落ち込むのも無理ないか。はじめての相手が草下だったなんて」



風見  「いえ、別にそういうことでもないんですが・・・」



流   「・・・行きましょう。何かおごってあげるわ。『草下君をふってあげたわ記念2004』として」



風見  「どういう記念ですか」



流   「・・・『平成16年』?」



風見  「そういう問題じゃないです」



日野  「まあいいじゃない。とにかくおごってあげるって言ってんだからさ、行こう」



日野、歩き出す



流   「・・・レッツゴー」



流も続く



風見  「・・・」



風見、とりあえず武器(細い木)を持ってついていく



三人退場






流が戻ってくる






流   「・・・スローモーション」






そしてまた退場



チャイムの音



ただし超スローペース



1回鳴ると流が登場






流   「・・・やっぱ早送り」






またまた去る



超ハイペース



1回鳴る






流登場



流   「・・・やっぱり午後の授業は早いわ」



流、折り紙を取り出す



折り紙をしている



そこに草下が登場



折り紙は続ける



草下  「よう、早いな」



流   「・・・草下君こそ」



草下  「まあね」



流   「・・・何しに来たの」



草下  「俺がここにきちゃいけないのか」



流   「・・・ダメ」



草下  「なんでだよ」



流   「・・・なんとなく。私の趣味」



草下  「そういうの趣味って言わないよ!」



流   「・・・じゃあ特技」



草下  「なんか話が自己紹介の文章をどうするかっていうふうになってきてるぞ」



流   「・・・じゃあ趣味は草下君いじめにしとくわ」



草下  「そこまで俺のこと嫌いか」



流   「・・・嫌いだったら無視してる」



草下  「じゃあ別に嫌いじゃないってことか」



流   「・・・羽が難しい」



草下  「今のって思いっきり無視だよね」



流   「・・・なんか言った」



草下  「もういいよ」







草下  「なんか暇だな」



流   「・・・」



草下  「話し相手にくらいなってくれよ」



流   「理恵チュンはもういいの」



草下  「だってふられたんだぞ、俺」



流   「・・・ふられても地獄のそこまで追おうとは思わないの」



草下  「ああ、そこまでは思わないね、別に」



流   「・・・ほんとに好きなの」



草下  「ああ、好きだよ」



流   「・・・それでそんなに簡単にあきらめられるの」



草下  「いや、あきらめるとかそういうわけじゃないんだけどね。なんかさ、恐くて」



流   「・・・なにが」



草下  「拒否されるのが」



流   「・・・」



草下  「俺ってこういう奴だからさ、ふられてもまたどうせいつものことだろうって皆接し方が変わらないんだ。それがさ、本気で追いかけたりして本気で嫌がられたりしたら嫌じゃん。それが恐い」



流   「・・・じゃあ失敗ね」



草下  「なにが」



流   「・・・理恵チュンに告白したの。理恵チュンはきっと罪悪感とか感じながら接してくるわよ」



草下  「そうだよな、やっぱ。どうしようか」



流   「・・・それは相談してるの」



草下  「一応」



流   「・・・めんどくさいから教えてあげない」



草下  「そうかよ」



流   「・・・でも特別に教えてあげるわ。理恵チュンみたいな子のために」



草下  「理恵ちゃんみたいなってどういうこと」



流   「・・・とりあえずまあ座れや」



草下  「もう座ってるよ。ってかなんだそのキャラ」



流   「・・・ノリが悪い。やっぱ言うのやめるわよ」



草下  「はいはい」



流   「・・・へい、親方って言いなさい」



草下  「へい、親方」



流   「・・・要するにあれだ。お前は相手のことを何も考えちゃいねえな。まずはそこがいけねえ」



草下  「というと」



流   「・・・自己中なんだよ、べらぼうめ。なぁにが恐いだ。告白されるもんの気持も考えな。無視できるやつはいいけどな、理恵ちゃんみたいな子もいるんだよ。たいした気持でもないのに勝手にぶつけられてさ。それを切り捨てたことを本気で悩んだりしながら生きていくんだ。どうだ」



草下  「どうだ、って」



流   「・・・そこら辺のこと考えたことあるのか」



草下  「・・・ない」


流   「・・・だろうな。いい草下君。まずは相手のことも考えてあげなさい。分かっ   



     た」



草下  「ああ」



流   「・・・じゃあ終わり」



草下  「え、で、結局なんだったの」



流   「・・・聞いてなかったの」



草下  「いや、聞いてたけど。え、俺が理恵ちゃんにどうすればいいか教えてくれんじゃないの」



流   「・・・なんで」



草下  「なんでって。俺が理恵ちゃんにどうすればいいかって話だっただろう」



流   「・・・ちがうわ。草下君のへたれを治そうって話」



草下  「いつからそういう風になったんだ」



流   「・・・最初から」



草下  「まあ、いいや。とりあえずここにいたら理恵ちゃん来るよな」



流   「・・・ほぼ確実に」



草下  「じゃあ会ってそん時考えよ。なるようになるよな」



流   「・・・できた」



草下  「また無視ですか」



流   「・・・はい」



草下  「なに」



流   「・・・あげるわ」



草下  「え」



流   「・・・はい」



草下  「なんで」



流   「・・・同情の印に」



草下  「喜んで受け取っていいものなのか、それ」



流   「・・・いらないならいいわ。この鶴に草下君の顔を描いて毎晩針でさすから」



草下  「ありがとう(手を出す)」



流   「・・・毎晩さしてほしいの」



草下  「違うよ、手出してるだろ!」



流   「・・・鶴じゃなくて手」



草下  「俺そんなヘンな人じゃねえよ」



流   「・・・嘘吐きは泥棒のはじまりだから嘘ついた草下君は死刑☆」



草下  「なんか突っ込みどころが多すぎてもういいや」



流   「・・・チャキン(はさみが出てくる)☆」



草下  「マジで!やるんすか」



流   「・・・(流し目)」



草下  「恐いよその流し目」



流   「・・・カナカナだわ」



草下  「え」



日野走って登場



日野  「はぁはぁはぁ」



流   「・・・どうしたの」



草下  「なんか必死だな」



日野  「理恵ちゃんが、理恵ちゃんが」



流   「・・・どうしたの落ち着きなさい」



日野  「三年生何人かと一緒に学校の隣の裏山の方に行ってたの」



草下  「それで」



日野  「それでって。それだけだけど」



草下  「なんなんだよ。じゃあなんでそんなに慌ててるんだ」



日野  「だって」



流   「・・・いじめられてるのかもしれないって?」



日野  「うん」



草下  「それは考えすぎなんじゃないの。先輩と一緒に裏山いったりしても別にいいだろ」



日野  「そうだけど、でも理恵ちゃん引っ越してきたばかりだって言ってたし、それにあの3年生たちっていっつも先生に呼び出しされてるような人たちだったんだよ。だからなんか心配で」



草下  「その3年生たちってだれ」



日野  「坂上先輩たち」



草下  「まじ!?」



流   「・・・あの隣町の高校生に喧嘩売ったっていう?」



日野  「そう。スカートがめちゃくちゃ長い人」



草下  「それはちょっとやばいかもな」



流   「・・・理恵チュンは何か言われても断れない感じ」



日野  「うん。だから心配で」



草下  「だったらさっさと追いかけようぜ。あっちの方だろ」



流   「・・・行きましょう」



日野  「うん」



草下  「どうしたんだ。なんか変だぞ」



流   「・・・何かあった」



日野  「別に、行こう」



日野が走り去る



二人が追いかける



流はかばんも持っていく



照明が少し落ちる



風見がゆっくりと現れる



ベンチに座る



かばんを持っている



日野が飛び込んでくる



日野  「理恵ちゃん!」



風見  「はい。どうかしたんですか叶さん。そんなに息をきらして」



日野  「大丈夫?平気だった。もう大丈夫だからね」



風見  「???なにがですか」



日野  「ほんと、探したんだから。でも見つからなくて美鈴と草下君がここを見て来いっていうから来てみて。ホントに平気」



風見  「はい、平気ですけど」



日野  「そう。ほんとによかった」



風見  「だからなにがですか。分かるように言ってくださいよ」



日野  「理恵ちゃんさっき3年生の先輩と裏山に行ってたでしょう」



風見  「はい」



日野  「あの3年生たちってこの辺で噂の悪い人たちなの、理恵ちゃん知ってる」



風見  「いえ」



日野  「でしょう。引っ越してきたばかりだし一年生じゃ知らないかと思って」



風見  「知りません。坂上先輩たちはとてもいい人ですよ」



日野  「え」



風見  「叶さんは坂上先輩たちの事知ってるんですか」



日野  「うん。噂でだけど」



風見  「それは知ってるとは言いませんよ。実際に会ってお話してみないと。すごいんですよ。坂上先輩なんて毒キノコを見分けられる目まで持ってるんですから。私が危うく採りかけたのを防いでくれました」



日野  「・」



風見  「噂なんか信じてちゃだめですよ。自分の目で確かめないと」



日野  「じゃあなんで裏山なんかに連れて行かれてたの。この前草下が理恵ちゃんがいじめられてるんじゃないかって言って。だからあたしてっきり理恵ちゃんが裏山に連れ込まれてお金とか取られてるんじゃないかって思ったから」



風見  「お金(笑いつつ)そんなんじゃないですよ。いじめられてなんかいません。皆いい人ですよ。裏山に連れて行ってほしいって行ったのは私からですし」



日野  「え」



風見  「ちょっと待ってくださいよ。(かばんをがさごそ)よいしょ。はいどうぞ」



風見、日野に何かをわたす



日野  「何これ」



風見  「あっ、まだ開けないでください。家に持って帰ってから、そうですね、今日一晩は本の間にでも挟んで上に重石を乗せておいてください」



日野  「だから、なんなのこれ」



風見  「私特製の栞です。本当は作ってから渡した方がいい気がしますが、なんかこの場の勢いで渡してしまったので叶さんは自分で作ってください」



日野  「はい?」



風見  「だから栞ですよ、栞。さっき摘んできた四葉をはさんだ栞です。私友達になった人にはこれを渡すことにしてるんです」



日野  「ちょ、ちょっと待って。なんかあたし今すごく混乱してるわ。順番に話してくれない」



風見  「ああ、すみません。えっと、どこまでは分かりました」



日野  「友達になった人には栞を渡すってとこだけ」



風見  「だけですか。はい、えっとですね。私はこの間も言いましたけど転校ばかりしていていっつも友達が変わっちゃうんですよ。しかも小さい頃とかは特に転校とかするとすぐに忘れられちゃって。哀しかったんです。だから友達には何か形になるものを渡しておけば覚えててくれるかなって思って栞を渡すことにしたんです。最初は皆に配ったんですけどなかなか大変だったので仲良くなった子だけにしました。でも、それでもやっぱり手紙とか来なくなったりして」



日野  「・・・」



風見  「最初の頃よりもっと落ち込みました。だから今度は私が大丈夫だって、私のこと忘れずに仲良くしてくれるって思った子だけに手作りの栞を渡すことにしたんです。えっと、長くなりましたがわかりましたか」



日野  「うん」



風見  「坂上さんとは学校の帰り道で知り合ったんです。ある家の前にお花がいっぱいあって、眺めてたら『それはアイリスだよ』って話しかけてこられて。坂上さんは将来フラワーコーディネーターになりたいそうです」



日野  「だから坂上先輩に裏山の案内を頼んだの」



風見  「はい。ほら、最初に叶さんと会った日があるじゃないですか。あの日私が学校の前で立ち止まってたの覚えてます」



日野  「理恵ちゃんとあった日?(思考中)ごめん覚えてない」



風見  「なんかチャイムが鳴るとか鳴らないとかっていって」



日野  「ああ、思い出した。理恵ちゃんは大丈夫だって言って私は走ろうって言って」



風見  「そうです。あの日はですね、裏山を眺めてたんです」



日野  「なんかいい花があるかって?」



風見  「そんなことまで考えてなかったです。ただ朝日に照らされて緑が綺麗だなって思ったんです」



日野  「裏山が綺麗」



風見  「はい、それなのに皆さん全く気づかずに参考書を読みながら歩いていったり友達とお喋りしながら歩いていったり。それでなんか哀しいなって思いながら立ってたんです」



日野  「そうだったんだ。でもさ、それはあれだよ。ここって中学校と高校が隣り合ってるじゃん。だから大抵の生徒は裏山なんて見慣れちゃってるんだよ。だから気づかなかったんだと思うよ。ほら、風景に溶け込んじゃったって感じで」



風見  「そうですね。まあとにかくその後から裏山に行ったら何かあるかなって思ってて。今日、坂上先輩に連れて行ってもらったんです。そしたらなんとものすごく広いシロツメクサ畑があってそこでいっぱい四葉のクローバーを見つけました。それを摘んで帰って明日皆さんに渡そうと思ったんですが。どうしますか、私が作ってきましょうか」



日野  「それっていうのはさ。なんか自分から言うのは恥ずかしいけど、友達として認めてくれたってこと」



風見  「なんかその言い方嫌ですね。友達になってくれませんか」



日野  「いいの」



風見  「もちろんですよ」



日野  「でも私なんてまだ会って話すの2,3回目だよ」



風見  「嫌ならいいですが・・・」



日野  「ああ、別に嫌だから言ってるんじゃなくて」



風見  「じゃあ、友達になってください」



日野  「はい」



風見  「それでどうしましょうか」



日野  「え」



風見  「栞」



日野  「ああ。じゃあまた明日もらうことにする」



風見  「分かりました」



風見に返す



風見  「あ、でも私の言ってる友達って叶さんの言ってるのとちょっと違うかもしれません」



日野  「どういうこと」



風見  「私は基本的にのんびりしてるのが好きなんです。だから叶さんみたいにちょっと離れたからって別になんとも思いませんし。そのほうが楽です」



日野  「あたしは別にそんなことないよ」



風見  「そんなことないですよ。私が叶さんを見かけるときは必ず叶さん誰かといます。美鈴さんがちょっとからかったときとかも怒っちゃったりして。だからきっと叶さんはいつも誰かと一緒にいたいって思ってるんですよ。って、ごめんなさい。なんか私スラスラとものすごく失礼なことを言ってる気がします」



日野  「いや、別にいいよ。確かにそうかもとかって思ってたとこだから。そうだね。あたし誰かが周りにいることばっかりだわ」



風見  「えっと、私が言いたかったのはですね、ずっと叶さんの側にいなくても別に気にしないでくださいってことです」



日野  「うん、わかった。気にしないように努力します」



流が入ってくる



流   「・・・やっぱり」



草下が入ってくる。息はあはあ



草下  「流、お前速すぎ」



日野  「よっ」



流   「・・・理恵チュン大丈夫?」



日野  「ああ、それ誤解だって分かったから」



流   「・・・誤解」



草下  「あれ、そうだったの」



風見  「なにやら心配をかけてしまったみたいでごめんなさい」



流   「・・・気にしないで」



草下  「そうだよ、理恵ちゃんは何も悪くないって。悪いのは間違ったこいつだ」



日野  「あたし」



草下  「そうだよ。日野が騒ぎ立てたから俺たち必死になって理恵ちゃん探し回ったんだろ。」



日野  「そりゃそうだけど」



草下  「だから悪いのはお前だ。土下座して謝りな!」



日野  「・・・だったらあんたは何してくれんの」



草下  「俺?何で俺が何かしなくちゃいけないんだよ」



日野  「理恵ちゃんがいじめられてるとかって言い出したの、確かあんただったような気がするんだけど」



草下  「あっ、馬鹿。本人の前で言うなよ」



風見  「あの」



草下  「いや、あの、その、これは。えとっ」



風見  「私いじめられてなんてないですよ、別に」



草下  「え」



日野  「そういうこと」



草下  「いや、でも確かに理恵ちゃんのクラスのやつに聞いたんだ。普段理恵ちゃんが何してるかとかって。そしたらそいつ一人でいることが多いから友達いないんじゃないかっていってたぞ」


日野  「それのどこからいじめになるって言うの」


草下  「一人でいるイコールいじめだろ普通」



風見  「あの、それ違うと思います。私確かに一人でいることが多いですけどべつにいじめられてなんてません」



流   「・・・はやとちりにもほどがあるわ」



日野  「そっ。だから大元の原因を作ったあんたが一番悪い」



草下  「・・・」



日野  「確かあたしには土下座しろとかなんとかいってたような気がするんだけど」



草下  「いや、あの」



流   「・・・体で払えとも言ってたわ」



草下  「言ってねえよ!!!」



日野  「じゃあどうしようか、これ」



流   「・・・はい(挙手)」



日野  「はい、美鈴ちゃん」



流   「・・・紐なしバンジー」



風見  「それはさすがに死んじゃいますよ」



流   「・・・飛下り自殺」



草下  「それ、おんなじだと思います(泣)」



日野  「あれ、制裁受ける気あるんだ」



草下  「ああ、だけどお前も土下座しろよ」



日野  「え〜(嫌そう)。あっ、いや、いいよ、うん」



草下  「絶対やる気ないだろそれ」


流   「・・・しかたない、じゃあ一生パシリということで」


草下  「しかたなくないだろ、それ。っていうか君らに人権を尊重する気は無いのか」



日野  「じゃあお互い何もなしでいいんじゃない。なんかもういちいちこんなことやってるのが面倒くさくなってきた」



草下  「いや、俺は絶対にお前に土下座させてやる」



日野  「しつこいなぁ」



風見  「あの皆さんそろそろ」



チャイム



日野  「あれ?もう下校」



風見  「はい。まだ明るいですけどもう7時です」



日野  「じゃあ帰るか」



草下  「まてよ、まだどうするか決まってないだろ」



流   「・・・じゃあ草下君が明日までに考えてきたら」



草下  「俺が」



流   「・・・そう。その中で美鈴たちが満足できるものをやってもらうってことで」



草下  「よし、絶対だな」



流   「・・・もちろん」



日野  「まあ、いいんじゃない」



草下  「じゃあ明日また昼休みにここに来いよ」



風見  「あの、私も来ていいですか」



草下  「もちろん。一緒に日野の土下座姿を見ようじゃないか」



風見  「いえ、そうではなくて渡したいものがあるんです」



草下  「俺に」



風見  「いえ、皆さんにです」



流   「・・・なに」



日野  「内緒」



草下  「何でお前が言うんだよ」



日野  「ね」



風見  「あ、はい」



流   「・・・カナカナは知ってるの」



日野  「まあね」



流   「・・・まあいいわ。じゃあ明日までのお楽しみにとっておきましょ」



風見  「あ、そんなに期待しないでください。たいしたものじゃないので」



草下  「ええ、なんなの。教えてよ」



風見  「明日まで秘密です」



日野  「じゃあ帰ろうっか」



草下  「まてよ。お前は知ってんだろ。教えてくれよ」



日野  「美鈴、行こう」



草下  「って無視ですか」



流   「・・・理恵チュンも一緒に帰る」



風見  「はい」



日野  「私荷物まだ置いたままだから正門で待ち合わせね」



風見  「はい。それじゃあちょっと待っててください」



風見、退場



草下  「なあ、これってやっぱいじめじゃないのか」



流   「・・・今ごろ気づいたの」



草下  「ずっと言ってるよ!」



日野  「じゃああたしたちも帰るね。早く荷物取ってこないと。バイバイ」



流   「・・・さよなら」



日野、流、退場



草下  「はぁ。結局一人ぼっちなのか、俺」



帰りだす



音楽



音楽  『校舎が閉ります。はやく出ないと今晩は学校で過ごすことになりますよ☆』


草下  「やべっ、校舎閉められる」


ダッシュ


そのまま音楽は続く




幕閉め