あなたからこんにちは。
あなたへとこんにちは。
どこからきたのとあなた。
あっちからと、僕。
君はだれ?
僕は僕だよ。
じゃあ僕はだれ?
僕は・・・。
ふと言葉に詰まった。
おかしい。僕は僕のはずだ。僕が僕じゃないなんてことはない。なのに。なんでだろう。頭になにかひっかかる。
僕は、僕?
疑問に対する疑問での答え。
それはとても不安でたまらない。
だって、疑問への疑問なんて、疑問の回答からの逃げでしかないから。
体が震える。
足がガクガクと震える。
今にも泣き出しそうな僕がいる。
すると。
あなたは笑って僕を抱きしめた。
涙が止まる。
足元が落ち着く。
震えがとまる。
ごめんね。
ごめんねといわれた。
ごめんね。ごめんね。ごめんね。
続けて三回。合計四回。
抱かれてるから顔は見えない。
だけどあなたは笑っているはず。
なのになんで泣いていると思うのだろう。
笑っていると思うのに泣いていると思う。
酷いことした。ごめん。
合計五回。
大丈夫だから。しっかり信じて。大丈夫。大丈夫。
なんだか安心する。
ごめんよりも大丈夫のほうが安心する。
君は大丈夫。しっかり歩ける。だから負けないで。
そうやって、強く抱きしめられる。
じゃあ、あなたはだめなの?
不安がよぎる。疑問よりも不安がよぎる。
うん。
だめ。
ぐらりと足元が揺れた。
足元は落ち着いたはずなのに。
揺れた。確かに揺れた。
でも、僕は立っていた。
僕の足元はしっかりと抱かれていた。
なんでだめなの。あなたは僕をしっかりと支えてくれている。
ねえ、どうしてだめなの。
それはね。
私には支えることしかできないから。支えることでしか支えることが出来ないから。
だから、だめ。
苦しい。とっても苦しい。
さっき消えていった涙が、また次々と奥のほうからせりあがってくる。
どうして。どうして。
何度も叫ぶのに、幾度かしか声にならない。
ごめんの数ほども、声にならない。
ごめんね。
六回目のごめんねが聞こえる。
私は支えるだけ。だから、君はしっかりと歩いて。
私がしっかり支えておくから。
苦しい。
だめだよ。じゃあ支えておいて。僕のそばでずっと僕を支えてて。
足元がぐらりと揺れないように。
そしたら、大丈夫だ。
・・・だめ。
その、一瞬。
あなたがなにかを考えた、答えを探した、その一瞬。
その一瞬がすべてだった。すべての恐怖だった。
だから、だめなんて言葉はもう届いていなかった。
だめなんだよ。
それはだめなんだよ。
なんでなんでなんでなんで。
もう、遅すぎたんだ。
遅すぎた?
そう。遅すぎた。気付くのが遅すぎた。私はもう、遅かった。
そんなことない。
君はまだ大丈夫。いや、これからだから、とてもいい。
しっかり、歩いて。
あなたの腕が少しずつ僕の体から離れていく。
安心が薄れていく。
恐怖が押し寄せてくる。
その、最後の瞬間。
僕は、立った。
そして腕を伸ばして、あなたの腕を捕まえた。
遅すぎなんてしない。早すぎるなんてこともない。いい時期なんてない。
あるよ。
ない。
それは、なんで。
あなたからの疑問。
僕に答えられる疑問。
それが、僕らだから。
僕ら。
そう僕ら。僕らだから大丈夫だ。
ごめんねなんていわない。ありがとうなんていわない。
大丈夫。大丈夫だ。
力強く、ただ大丈夫と繰り返す。
大丈夫だよ。大丈夫。大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫。
だから、戻ってきて。
いや、一緒に行こう。
止まることなんてない。
止まることなんてできない。
それも、僕らだから。
僕らだから。
そう、僕らだから。
それは今の僕のすべての答えで、今の僕らのすべての答えだった。